『バガバットギータ』や『シュリマドバガバータム』などの経典には 多くの宇宙の真理が説かれています。
1.【物質宇宙】と【精神宇宙】
宇宙には、物質宇宙と精神宇宙の2種類の宇宙が存在します。 「無数の宇宙で構成された物質界は、私の全創造の4分の1である」 ということをクリシュナは説明しています。
創造主のすべての創造物のうち、4分の1は物質宇宙であり、 残り4分の3は精神宇宙です。 物質宇宙についてでさえ、私たちにはひとつの宇宙の状態さえ計りし知れませんが、 何百万という別の宇宙が存在し、 さらに物質宇宙を越えたところに精神空間があり、そこには 数え切れないほどの精神惑星が散在しています。
2.【物質宇宙】
私たちの住む物質宇宙は、精神宇宙の写しであるといわれています。 サーンキャ哲学によると物質宇宙界は24の物質、すなわち、5つの粗雑な物質要素、3つの希薄な物質要素、知識を得るための5つの感覚、機能する5つの感覚、5つの感覚の喜びの対象、マハトゥ・タットゥヴァ(全物質エネルギー)で構成されています。
経験主義哲学者はこれらの物質要素を越えた領域を考えることができないため、その領域をavyacta(アヴャクタ)、説明不可能、と空想します。しかし、『バガヴァッド・ギーター』では永遠(sanatana・サナータナ)な自然界と言われているのですから、説明不可能な世界ではありません。
物質宇宙に存在する惑星は、高位、中位、低位の3つの惑星系(3界) に分類され、さらに細かく14の惑星系に分類されます。 分類は以下のとおりです。(ローカ=惑星)
1 サッティヤローカ(高位)
2 タパルローカ(高位)
3 ジャナローカ(高位)
4 マハルローカ(高位)
5 スワルガローガ(高位)
6 ブバルローカ(地上と天界(高位惑星)の間)
7 ブールローカ(中位 地球はここに位置する)
8 アタラローカ(低位)
9 バイタラローカ(低位)
10 スタラローカ(低位)
11 タラータラローカ(低位)
12 マハータラローカ(低位)
13 サラータラローカ(低位)
14 パタラローカ(低位)
14のパタラローカと呼ばれる低位惑星から、1のサッティヤローカと呼ばれる高位惑星まで、 すべての惑星は物質宇宙に存在します。1~6までの惑星を 、高位(天界)惑星と呼びます。 そして7番目に地球が位置するブールローカが存在し、 さらに下には7つの下位惑星が続きます。
私たち中位惑星に転生している魂は、物質に縛られた生活から 喜びと苦しみの両方を経験する場所に位置しているため、解放への望み、 さらに神を求めることへの望みが容易に生まれます。 私たちよりもさらに物質に恵まれた高位惑星、低位惑星はたくさん存在しますが、 苦しみを経験することができないため、物質的幸福に安住してしまい、神を求める機会に恵まれないことがあります。 そういう意味で私たちは今、神を理解するための機会に恵まれているといえるでしょう。
3.【精神宇宙】
物質界を超えたところにパラヴョーマ・精神界という領域があります。その世界は、6つの富のようなすべての超越的な特質を備えています。
精神世界は永遠で至福に満ちている世界です。
ヴァイクンタと呼ばれる精神空間は、私たちがこの物質宇宙で必要としている 太陽や月、電気、火を必要とせず、それぞれの惑星が自ら光り輝いています。 そしてすべての惑星の光輝は、ブラフマジョーティというスピリチュアルな 光輝空間を構成しています。
その世界は精神的な質を備えているため、その世界の中に質的な違いはありません。すべては精神的で善であり、主クリシュナ自身の精神的姿と同じものをすべて備えています。その精神界は主クリシュナの内的エネルギーによって放出されました。主の外的エネルギーによって放出された物質界とははっきり異なっています。
主クリシュナの非人格的な光である遍在するブラフマンは、ヴァイクンタ惑星とともに精神界に存在しています。物質界の太陽光線は人格主神のきらめく光輝であるブラフマジョーティと比べることができるため、物質界と比べることで精神界がどのような世界かを垣間見ることができます。ブラフマジョーティには、精神的な質を持ち、太陽の何倍もの輝きを持ち、自ら輝く無限のヴァイクンタ惑星が漂っています。
人格主神シュリー・クリシュナ、そして主の無数の完全部分体、完全部分体の部分体がそれぞれのヴァイクンタ惑星を支配しています。精神界のもっとも高い部分にはクリシュナローカと呼ばれる惑星があり、3つの区域、すなわちドゥヴァーラカー、マトゥラー、ゴーローカ(あるいはゴークラ)に分かれています。
4.【次はどこへ?】
神に何かを求めて祈り、努力すれば神は必ず応えてくれます。 例えば私たちが物質宇宙の高位惑星へ行って楽しみたいと望んでそのために 努力すれば神は私たちをそこへと導きます。 一方、私たちが、物質世界への執着を捨て、精神世界である 神の御国へと帰ることを望み、正しく献身奉仕を行えば、 そこに到達できるように私たちを導きます。 私たちは、それぞれの望みに応じた場所へと導かれます。
一方、どのような惑星にいようとも、純粋な献身者(神を愛する者)はすべての人の中に神を見出すことができます。すべての森羅万象のなかに神の愛を見出すことができるのです。
物質世界では高位惑星では天国のように物質的な喜びがあふれ、 低位惑星では地獄のような苦しみが続きます。 ですが偉大な献身者にとっては地獄も天国も関係ありません。 ただ、神を愛し、生きとし生けるものを愛し、人々を苦しみから救うことを望みます。 したがって私たちよりも下位惑星にあえてとどまりながら、苦しむ人々を 解放へと導くために働く魂も存在します。
何を喜びとし、何を求めて生きるかによって、生きる目的と行き先を、 私たちはこの広い宇宙のなかからカルマに応じて自ら選択して転生しています。