仏教では、解放のことをニルヴァーナ(涅槃)といいます。
「ニル」とは「出る」という意味、
「ヴァーナ」とは「森」という意味です。
「森」が指すものは、二元相対性です。
人はいつも正・悪、好き・嫌い、金持ち・貧乏、
という相対的なものの見方に縛られています。
そのために悲しみ・苦しみ・恐れが生じます。
つまり、二元性という森から出るということです。
ではこの「二元性の森」はどこに存在するのでしょうか?
それは私たちのマインド(思考・感情・欲望)のなかに存在します。
マインドと私たち自身は別です。
マインドが作り出す感情を自分自身だと思い込むことによって、
森に迷い込みます。
その森の中で私たちは甘い木の実を食べては喜び、
苦い木の実を食べては悲しみ、二元性という木から木へ
移り住んで日々暮らしています。
映画を見ているあなたが愛する人を失った主人公に
感情移入することによってあなたも悲しみを経験します。
そのときあなたは、映画を観ている観客であることを忘れ、
その主人公を自分自身であると思い込みます。
そのときあなたは二元性の森の中に住んでいます。
その映画の主人公はときに過去起こったことを嘆いている自分であったり、 未来を心配しているあなたであったりします。
それはすべてマインドというスクリーンに映っているあなたのイメージです。
あなたはそれを座って観ているだけなのです。
それを観ている「今」という自分を瞑想したとき、
「苦しみ」やとらわれから自由になり、
本当の自分に気づくことができます。
本当の自分というのは、
二元性を超えた絶対的な存在です。
私たちは本来、永遠で至福に満ちた存在です。
そのことを真に悟るときまで、
私たちの解放への旅は続きます。